FIE-II

 

FIEの目標

 

『考えるための道具』として言葉、上位概念、様々な認知の機能を使いこなし、

自分の足で立って考え、決断のできる学習者を育てること。

 

発見と達成感に裏打ちされた学習意欲を育てること。

 

上のような目標を念頭において、FIE-2の課題を見ていきましょう。

 

1日目

 

『分類』全21ページ

 

この教材は、FIE-1の『比較』という教材で学んだスキルを発展させ、もっと複雑な論理や言葉がつかえるように組み立てられています。

『共通点』から導き出される『上位概念』に基づいて情報を『カテゴリー化・分類』する練習をします。

 

『カテゴリー』は、『認識=知る事の基本的構造』です。『分類=なかまさがし』のためには、『カテゴリーをしっかりと定義づけること』が必要です。

たとえばこの課題では、『生物』と『無生物』を区別する問題が出てきたりします。

『生物』と『無生物』を区別するものは『生活機能』です。

『生きているか、いないか』・・・小さな子どもは、『動いているもの』はみんな『生きている』と思っています。

発達するに従って『生物』とは、栄養・代謝・運動・生長・増殖など『生活機能』をもっているものである、という定義が身に付いてきます。

 

たとえば、早いページで、『麦わら(ストロー)は生物??無生物??』などといった『なぞなぞ』が出てきて学習者は混乱しますが、

『生物』を生活機能の面から考えられるようになると、謎はとけます。

 

終わり近くのページになると、動物が沢山現れて、子供たちは大喜びで動物園をつくります。

そこには仕掛けがあって、子供たちは、動物の棲む場所、危険か危険でないか、などを考えながら動物園を設計します。

複数の情報を考えながら、きれいなマトリックス表を描いて動物たちを分類する方法を学んでいきます。

 

              

 

2日目

 

『時間的関係』全24ページ 

 

 ☆時間は見る事ができません。さわることができません。でも、時間は流れています。

 ☆時間は後戻りをしません。時間は極めて抽象的です。

 ☆写真は過去のある『時点』を凍結して表す、脳の外側にある記憶です。

  もし、写真がなければ、私たちが参考にできる過去は、記憶以外にはありません。

 ☆時間が流れて行く先にある、未来は、表象によってしか先取りすることができません。

 ☆時間はこのように抽象的ですから、小さな子供などにとって、時間の把握は、まことにやっかいです。

 ☆彼らの現実把握は断片的で、出来事と出来事、今見た事と、さっき見た事との間につながり、関係性をもたせることがほとんどありません。

 ☆今日は×月○日、何曜日???まったく無関心である事が多いのです。

 ☆「今・ここ」だけに住んでいます。

  

  この教材は、学習者がこのような難しさを克服して、過去/現在/未来を見通し、積極的に生きる存在なることが意図されています。

  ☆『時間』の様々な局面を分析し、時間と言う摩訶不思議を『表象し』『抽象』する力を育てます。

  ☆『時間』がもっている『サイクル』や『リズム』は、出来事と出来事の間にある法則性の発見につながります。

 ☆この経験は、自分が経験した事柄に一般性や原則、法則を発見しようとする気持ちw習者に呼び起こします。

 ☆『連続性』『変化』『時間的な順番』『因果関係』などの知覚は、現在・過去・未来の関係性の把握を生み出します。

 

 ☆早いページには、例えばこんな問題があります。

 

 下の3つの言葉を、時間の流れにあうように番号を打ってください。

     めんどり(   )たまご(   )ひよこ(   )

  

 FIEでは正解が与えられていません。ですが、あえて答えてみましょう。

     

    めんどり(1)− たまご(2)—ひよこ(3) 

     

        これでいいですか?  

 

それとも別の答えになる可能性はありますか?

    

    めんどり(3)− たまご(1)—ひよこ(2)

     

    この答えの場合には、どんな説明が可能ですか??

 

3日目

『家族関係』全26ページ

 

  FIE学習全教材を通じて、大切なテーマは『関係性』です。

  家族を図式化した家系図』は時間的・空間的な関係が枝分かれ発展していきます。

   ☆当然ながら、関係というものは、2つあるいは、それ以上の要素があって初めて出てくるものですから、この教材と取り組む間、生徒は絶えず複数の情報を関係づけて考えねばなりません。

   ☆この教材では、関係性を学習するためのトレーニングとして、家系図を完成させる課題が多くのページにわたって展開します。

   ☆性別や、役割(父・母・夫・妻・娘・息子などなど)を同時に考えて情報を記号化し、家系図を完成しなければなりません。

 

   他者の視点に立って物事を見ることができない場合、自分も周囲も困ってしまうことがよくあります。

 

  他者の立場に立ってみると、自分の立場にどんな変化がおこるでしょうか。

  視点を変えて物事を見ることができるようになるためには、時間的・空間的な関係を把握しなければなりません。

  たとえば、下のような図を見て、『ジムはトムのおじいさん』という関係が答えられた子どもに、関係を反対にして、

   『トムはジムの???』『なに?』と質問すると、『おじいさん』と答える子供はけっして少なくありません。

 

     

 

 『右-左』がわからなくてこんがらがっていた子供が、次に出会う相対的な関係性の難しさです。このハードルを乗り越えたとき、子どもの社会性は飛躍的に伸びるのです

  

   ☆『家族関係』を考えることは、論理的な思考を鍛えるのに適切な要素をもっています。

   ☆たとえば、『世の中には祖父と孫とどちらの数が多いですか?』という質問に対しては、

   ☆恐らく、成人でも、試行錯誤を重ねたあと、確信のもてない答えが浮かぶ事だろうと思います。

   しかし、『家族関係』では、実地検証が極めて難しいこの問題でも、論理を使えば、正解が得られるという、高度な心的操作を経験します。

   子供は抽象の階段をかけあがる貴重な経験をするのです。

  

   ☆集合で使う『ベン図』を使って考えてみて下さい『すべての____はかつて____だった』。

   『時間的関係』で『にわとりーたまごーひよこ』の順番を考えたときによく似た発想の転換が必要ですが、

    下の2つの円に『祖父と孫』のどちらかを選んで、大きな円と小さな円のそれぞれに入れてみると、『ア、そうか!!』とわかるはずです。

 

 

 

 

 

 

 


図4

 

4日目

 

『指示』全31ページ

 

  ☆この教材では、言葉で書かれた『指示』に従って図や線を描く、または逆に、図や線を読み解いて言語に書き換える作業が豊富に、手変え品変えて出て来ます。

  ☆一見簡単そうに見えるのですが、指示の出し方は、はっきり分かりやすいものもあれば、遠回りで、いわゆる行間を読ねばならないものも多いのです。

  ☆認知の発達にばらつきが見られる子どもの言語や知覚や思考の正確さや柔軟性がおおいに鍛えられる好教材です

  (下の例題の、こないように、という語句が求めている意味はなんでしょうか??)。

 

 

例題:

 

 

 

 

 

 

図5

 

*上のワクの中に、指示にしたがって図をかきましょう。

**長方形の横に正方形を描きなさい。

***正方形が三角形の上にこないように気をつけなさい。

 

5日目

 

『イラスト』全21ページ

 

  FIEの各課題は認知の発達に重点がおかれていますが、この教材は異色です。情緒、認知、動機など多様な側面を育てていきます。

 

  ☆さまざまな場面を描いたマンガ(イラスト)がページ毎に出て来ます。変だな??と心の均衡を破る情景が出てきます。

  ☆バランスを取り戻すためには適切な答えを見つけなければなりません。

  ☆どこが変なのか、問題点を把握し、どうすれば変でなくなるか、答えをみつけねばなりません。

  ☆コマとコマが変化するときに、[原因と結果]と[目的と手段]の場合があり、これら2つを区別しなければなりません。

  ☆コマとコマの関係を見抜くためには細部を鋭くとらえ、複数の情報を扱い、比較をしなければなりません。

  ☆推量や類推を活用してイラストの中に見られる状況・行為・態度などの変化が起こった原因を突き止めねばなりません。

Software: Office 聽ュ罕罍羌� 図6 copy right: Reuven Feuerstein

                      「このままでいいなんていわないで!」より引用

         船長さんの問題は完全に解決されましたか?それとも・・・????

 

 

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